苦手だけど、好きにならずにいられない!


まあ、いいや。水着も一応持ってきたし、プールサイドで日向ぼっこでもしようかな。
せっかくリゾートに来たんだし……


「うっす!なんだよ、お前、目の下のクマ!」


いつのまにか、寺島先輩が朝食のトレイを持ってそばに立っていた。ズズッと椅子の背を引っ張り私の隣に腰を下ろした。

「…そんなひどいですか?」

「それほどでもねえけど。お前って寝不足がモロ出るタイプな。ワールド・リゾートの時もそうだったし」

「えーーやだなあ……
あとでコンシーラーしよう」


寺島先輩に図星を指され、両方の人差し指でクマをゴシゴシこすってみる。消えるわけないけど。

でも寺島先輩がわだかまりなく、これまでと同じく接してくれるのが嬉しい。この際クマに感謝しなくちゃいけないかも。

「まーた焼き過ぎベーコン食ってる!俺、それ許せねえんだよ。ベーコンは脂がじんわり滲み出てる感じが美味いのにさ」

「これはこれでいいと思いますけどね。でも先輩みたいな人いるでしょうから、あとでアリシアに言っておきます」


「……なあ」

先輩のフォークの手が止まった。



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