苦手だけど、好きにならずにいられない!
「好きなやつがいるなら、当たって砕けてみるのもいいんじゃないか?なんかさ、バーンと一発やっちまえよ。
ウジウジしてるのお前らしくない」
吹っ切れたような穏やかな顔をして言う。
「まあ…そうですね」
ウジウジって…この状況を他人から見れば、そう思うのかな。
でも最初から勝率0%、100%玉砕。
このままの方が私にとってもデレクにとってもいいに決まってるし。
「もしかしてゲス不倫とかないよね?」
寺島先輩が私の方にフォークを突き出した。不倫、と言うワードに意表を突かれて、私はコーヒーを吹き出してしまった。
「ぐふっ…ち、違いますよ!不倫じゃないです!見損なわないでください!」
「あーー声でかいでかい。でも、元気出て良かったな!」
先輩がからかうのに、私は彼の腕を軽くパンチしてやった。
「グモーニン。あら、莉子、どうしたのその顔は?」
青いサマードレスを着たナオミがコーヒーカップを手に大袈裟に驚いてみせる。ナオミはいつも朝はブラックコーヒーとサラダだけ、という人だ。