苦手だけど、好きにならずにいられない!
「アーモンドオイルとフランキンセンスオイルをブレンドしたベリロイオリジナルオイルでございます…」
柔らかい手で優しくマッサージされ、夢見心地でエステテシャンのハスキーな声を聞いた。
あっという間に120分が過ぎようとしていた時。
「ねえ、莉子」
髪をタオルで包んだナオミが、目を閉じ仰向けになったまま、話しかけてきた。
上気した素顔の横顔が彫刻のように美しい。カーブのついた睫毛がハケみたい。
私達は二人揃ってフットマッサージを施されているところだった。
カップル・エステだから、こんな感じで雑談するのもアリなのかもしれない。
「はい」
「私とデレク、どういう関係だと思ってる?」
いきなりな質問に私はどきりとした。もしかしたら、デレクと私が二人きりで出掛けた事を怒ってるのかもしれない。
「皆は恋人同士ではないかと。私もそう思っています」
返事した途端、あはははは、とナオミの甲高い笑い声が響く。
え、え?爆笑されるようなこと、私した?嫉妬のあまりに気が狂った⁈
「ああ、皆、そんな風に思ってたの。ノーノー、違う、全然!」
ナオミは、笑い過ぎで滲んだ涙を指先で拭う。