苦手だけど、好きにならずにいられない!


「私は以前このビルにあるシアトル・コーヒーで働いておりました。

シアトル・コーヒー自慢のオリジナルブレンドは世界一美味しいんじゃないかと私は思っています。

カフェラテというご注文でございますが、是非ご賞味頂きたいと思いまして。

勝手なことをして申し訳ありませんでした。お口に合わなかったならお許し下さい。今からでもカフェラテをお持ちいたします」


深々と頭を下げると、デレクが豪快に笑い出した。


「いや。美味しかったよ。変わらないね。久しぶりに本場の味を飲んで懐かしかった。大学時代、店に通っていたからね」


はっ…そうか、社長はシアトル大卒なんだ、アメリカの大学を卒業したって前に寺島先輩が言ってたっけ。

内心の焦りを隠し、私は微笑んでみせた。

「そうでしたか。私、シアトル・コーヒーで働いていたことを誇りに思います。出過ぎた真似をしてしまいましたが」


「そんなことはない。ミス・ヒムラ。キミは面白い子だね」


「…光栄です。これで私の名前も覚えて頂けたかと思うと作戦大成功です」


「作戦…?」


はっ…いかん!



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