苦手だけど、好きにならずにいられない!


「でも、ナオミさんはB.C. square TOKYOのホテルに住んでると言ってましたよね?社長はセミスィートを住居にしています。話の辻褄が合います。それに…」

いつのまにか、私はムキになっていた。


「私、見たんです。社長に助けて頂いた日、着替えをしようとクローゼットを開けたら、ナオミさんのブラウスが掛かっていたのを。
私の歓迎会をしてくれた時、お召しになっていたスカーレット色のブラウスです。ああ、ナオミさんが出入りされてるんだなって思いました」

「Oh,デレクの部屋にあったの!探してたのよ、あのブラウス。
クリーニングサービスが間違えたのね。私の部屋はデレクの真下だから。
まあ、とにかく私が言いたいのは、いろいろ誤解なのよ」

「…誤解?」


フットマッサージが終わり、私達の瞼の上に、ジェル入りアイマスクが置かれた。じんわりとあたたかくて疲れ目に効きそう。

このまま10分ほど置きます、とエステテシャンが言って別室に消える。BGMのボリュームも小さくなり、エステルームはヒーリングの空間となる。




< 110 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop