苦手だけど、好きにならずにいられない!
「OK、Fine!」と言った後、ナオミはシーツを巻き付けたまま、上体を起こした。
ナオミが起きた気配を感じ、私も同じようにする。ナオミはにこにこしていた。
「デレクったら、1日だけでもいいから、あなたとこの島で過ごしたくて、会社のプライベート・ジェットを借りたのよ。莉子、あなた迎えにいってあげて。
さあ、Hurry up!」
「……はい!」
私は急いで衣服を身に付ける。
化粧したいけど時間がない。
髪を梳かすので精一杯。
早く行かなきゃ、早く早く!
マイクの運転するマイクロバスで海岸沿いの道を走ること10分。
簡素な空港に小型ジェット機がぽつんと停まっていた。
デレクの飛行機だ。
搭乗口にステップが装備され、キャビンアテンダントが深々とお辞儀する中、白いカッターシャツを着たデレクが降りてきた。
南国の陽射しに眩しげに手をかざしている。
「デレク…!」
私はマイクロバスから飛び出した。
入出国ゲートで今か今かとデレクの姿を待つ。
あっ……
通路の奥からスーツケースを持った栗色の髪の男性が姿を見せた。
まぎれもなくデレク・ワタナベだ。