苦手だけど、好きにならずにいられない!
「デレク、デレク!私はここよ!
……逢いたかった!I need you!」
人目なんて気にしてられない。
溢れる想いを伝えずにはいられなかった。
デレクは何も言わず、嬉しそうな笑みで応えてくれた。青灰色の虹彩がはっきりと見えるまで距離が縮まった時。
デレクはスーツケースから手を離し、すっと片足の膝を折って跪いた。
まるで騎士(ナイト)のように。
そして今日の空のように澄んだ瞳で私を見上げる。
周りの視線が一気に集まる。
え、何が始まるの…?
どうしてよいのか分からず、棒立ちになる私の前で、デレクは背中に隠すようにしていた右手をぱっと出した。
その手には見事な白バラが一輪、握られていた。
そのバラを私の方へと差し出す。
「よく考えて出した結論だ。君にふさわしいのはこの僕だ。
今夜のパーティー。君のドレスにこの白いバラを飾ってくれないか?。
そして僕の恋人だと紹介させてくれ」
「……はい!」
私は大きく頷いて白バラを受け取った。