苦手だけど、好きにならずにいられない!
「そうだな……そうだよな。シフトチェンジ。
俺、ついつい台本通りやっちまうとこあるから。日村、お前いいこというな」
「それは仕事にも通じることだと思いますよ。さ、行きましょ!
昨夜の体験を生かして、私と一緒に【paraiso】を盛り上げていきましょ!イェー!」
「ん?昨日のことはあんまり思い出したくねーけど…ま、イェー」
寺島先輩の投げやりな反応。昨日のノリの悪い観客みたい。
ダメだなー。お笑い志望なら、ここで一発突っ込んでみろよ、と蹴飛ばしてやりたくなった。
はあ……、
まただ。
築5年軽量コンクリート2階建アパートの私の部屋の前にミニブーケが置かれていた。
やめて欲しい…
心底そう思う。
でも、花に罪はない。花は人の目を楽しませる為に存在してるんだから。
私には、赤と黄色のガーベラとかすみ草で形作られたそれをゴミ箱へ放るなんて出来なかった。
暗い中、拾われるのをひたすら待っていた子猫のようで、不憫に思えてしまって。