苦手だけど、好きにならずにいられない!


なんとなくもう失敗するのが前提で、デレクはその責任を一スタッフに押し付けようとしてるんじゃないかとさえ思えてくる。


私は自分のデスクで頬杖をついて、溜め息を吐いた。


「はあ…もうパンプスのヒールがダメになっちゃった、2足目だよ」

「俺は靴下に穴空きまくり!俺の足の親指の爪めっちゃ強靭だから。ちょっとしたミニナイフだぜ?

…あ、このネタ使えるかも。ピーナツ割るとか…」


しょうもないことをいいながら、向かいの席で寺島先輩が大きく伸びをする。


「リーフレットのみじゃ先方になかなか伝わらないですね」

「せめて、オプショナル・ツアーに組み込んでもらえねえかなあ。そしたら口コミで広がる可能性あるんだけど」


口コミ…モニターでも募集できれば手っ取り早いんだけどな。そんなこと無理だよね…


「なあ。とりあえず俺、『ベリロイ』のホームページ開設してみようと思う。
行く行かないは別として、まず客の興味を引きたい。

他人とは違う旅行したいと思ってる奴は必ずいるから、直接アピールする方が近道じゃねえかな」


「あ、それ、いいと思います!でもホームページ作成って、寺島先輩出来るんですか?」

この人、パソコンに強いイメージないけど。
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