苦手だけど、好きにならずにいられない!
とっても素敵なお誘いだけれど、寺島先輩も私もその場に固まり、目だけで
「日村、どうする?」「先輩、どうしましょう?」と会話する。
先輩は紺のスーツ。私は今年買った白いニットのアンサンブルにモスグリーンのプリーツスカート。
一応社会人として、恥ずかしくない服装はしてるつもりだけど、いきなりそんな高級レストランに繰り出す勇気なんてない。
「馬鹿ね、二人とも。ノープロブレムよ」
怯えた仔犬のような私達にナオミは肩を竦めてみせた。
「少し待っていなさい」
そう言って一旦部屋を出た。
「はい、莉子、これを着けて。オモチャみたいなもので申し訳ないけど。新太にはこれね」
ナオミは大粒のスワロフスキーが付いたペンダントを私に差し出した。天下のスワロがオモチャなんてとんでもない!
そして寺島先輩には、上品な光沢のある派手めなネクタイ。
「うわ。これアルマーニじゃないすか…どうしたんです、これ?」
アルマーニ…そう来られると寺島先輩お気に入りの紺地にベージュの水玉模様のネクタイがチョーダサく見えてしまう。