苦手だけど、好きにならずにいられない!
デレク社長に拾われて
連れ込まれてどこかに売り飛ばされる?
誰か降りてきたらダッシュで逃げよう…
「ヘイ、ユー!日村莉子サン!」
え?その声…聞き覚えがあるよ…
恐る恐る車の方を見ると、後ろの黒い窓が開いていて、そこからサングラスをかけた欧米系外国人男性が顔を出していた。
「ミス・ヒムラじゃないか、
どうした?」
サングラスを外すと正体が分かった。デレク・ワタナベだった。
「社長…」
とんでもないところを見られて私は俯いた。
「理由は話したくなかったら話さなくてオーケイ。とりかく車に乗りなさい。あなたの家まで送りましょう」
「……」
「OH、カモーン。ここで朝を迎えるつもりかい?さ、早く」
デレクが呆れ顔をしながら、後部座席のドアを開けた。親切を無下には出来ない。
私はリムジンに乗り込んだ。
自然に後部座席のデレクの横に座る形になる。
デレクは仕事帰りなのか、ワイシャツにスラックスという出で立ち。
品の良い幾何学模様のネクタイは、多分彼のお気に入りバレンティノかアルマーニだと思う。