苦手だけど、好きにならずにいられない!
あー!夢じゃなかった!
私、デレクに拾われたんだ。
うわー恥ずかしい!ヨダレ付き寝顔見られちゃったかな?
いつのまにか車はどこかの地下駐車場に入ったようだった。四方がコンクリートで覆われている。
「…ここはどこですか?」
「B.C. square TOKYO Hotelだ。
僕は日本で過ごす時はここに泊まることにしている。以前はお台場のタワーマンションを借りていたけど、こちらの方が居心地がいい。
会社から恐ろしく広い部屋を与えられているんだ。住むのは僕一人だから狭くて構わないと言ってるんだがね。
使ってない部屋を君の避難場所にしよう。ここならセキュリティもいい。
事態が落ち着くまで明日からしばらくB.C. square TOKYO Hotelから通勤しなさい」
えええ!なんて提案!
私がこんなお高いホテルに?住むの?信じられない!
口から心臓が飛び出しそうになるくらいびっくりしたけど、なんとか平静を装った。
「それは…デレク社長と相部屋になる、ということでしょうか?」
デレクはくくっと笑った。
曲げた人差し指で、自身の厚めの唇を撫で始める。
こんな何気無い仕草も思慮深そうで、カッコイイ。