苦手だけど、好きにならずにいられない!
「ドン、ウォーリー。
僕の部屋はセミスィートでツーベッドルームだ。君の部屋には鍵を付けることにしよう。
バストイレも2つずつあるから、君は好きな方を使うといい。
言っておくが僕は海外出張だらけだし、オフは毎朝5時に起きてこのビルにある5階のジムに行くのが習慣だ。
日本にいる時の帰宅は毎日深夜になるから、君と顔を合わせることは少ないと思うよ」
「はあ…」
他に行くあてなんてない。
実家は姉夫婦が住んでいて私の部屋は既に甥っ子の勉強部屋になってる。出来の良い甥っ子は中学受験に向けて猛勉強中らしいし。
「…本当にいいのでしょうか?
というか、ここまでして頂いて良いのかな…」
「オフコース!僕は拾った仔猫には責任持つよ。そして僕は紳士だ。君は何も心配しなくていい」
「仔猫…私が?」
デレクはパチンとウインクしてみせる。日本人男性には絶対無理な仕草。
正直、どう返して良いのか困ってしまう。
例えばナオミなら、アーハァン、とか言って肩を竦めたりするんだろうが、私には曖昧に笑ってみせるしか出来ない。