苦手だけど、好きにならずにいられない!
おかしい、ホテルは確か42階からだったはず。どういうこと?
これが前に寺島先輩が言っていた『秘密のエレベーター』?
キョロキョロ落ち着きのない私と違い、デレクは普通に堂々としてる。いちいち絵になるんだよな。
警備員さんに最敬礼されちゃったりして、プレジデントが板に付いてて本当かっこいいんだ。
デレクが何も言ってないのに、警備員さんは当然のことみたいに、51階のボタンを押した。
オフィス用とは全然違い、落ち着いたオークル調のエレベーターの箱の片隅にはアンティークな椅子が置いてあったりして。
きっとリッチなご高齢女性が座ったりするのだろうな。
床の赤いカーペットだってきっとペルシャ絨毯だと思う。しゃがんで撫でてみたいけど、デレクがそばにいて、時々私の方をちらっと見るから出来ない。
明らかに他のエレベーターより速度が速い。耳がツンとならないのもなんか工夫があるのかな?
数秒で到着。
チーンと高らかな音がして扉が開く。
デレクが右手を伸ばして、どうぞ、の仕草をする。
さすがレディーファーストが身に付いてる。
ここでは、エレベーターの賭けは出来ないね。相乗りになんかならないでしょうから。いつも勝ちになっちゃう。
エレベーターだけで、こんなにワクワクしちゃうなんて….