苦手だけど、好きにならずにいられない!
「そこのクローゼットにゲスト用のローブが入ってるから使いなさい。
お腹が空いているならルームサービスを取りなさい。
支払いは部屋付でオーケィ。チョコバーとポテトチップスはバーカウンターの棚に入ってる。ドリンクも好きなものをどうぞ。
君の部屋はあちらだ。僕はこれで失礼するよ。明日は例のBeriberi Royal Resortの竣工式に関してシンガポールでコンファレンスがある。早朝出発して帰りは3日後だ。君のカードキーをリビングのテーブルに置いておこう。
それから貴女が僕の部屋にいることはナオミ・ヒル以外にはシークレットにしてくれ。無責任な噂を流されると困る。
あと、分からないことがあったらナオミ・ヒルに聞きたまえ」
「はい…」
言いたいことを言うと、デレクは別の部屋に消えた。
一人取り残された私は改めて部屋の中を見渡す。
この広々としたセミスィートの部屋の特長は、本格的なバーカウンターとなぜかグランドピアノが置かれていることだ。
大きなリビングテーブルと6脚の椅子、ベッドにもなりそうなソファーセットが配置してあり、リビング兼応接室という感じ。
この空間を軸にしてベッドルームが左右にあるコネクトタイプ。ゲストを招くのには最適だ。