苦手だけど、好きにならずにいられない!
とりあえず、ローブに着替えようかな…
引き戸式クローゼットの扉を開けようとしたらなぜか鍵がかかっていた。
開かない……
「んっんっ」力任せにドアノブを引っ張ったり引いてみたりしたけどダメだった。
仕方ない、持ってきたトレーナーを着て寝よう…
諦めたその時、ノブの真ん中にボタンを見つけた。pushと小さな文字があるそれを押してみたら、すううーっとオープン・ザ・ドアするではないか!
「なんだあ、早く言ってよ」
クローゼットの中のポールには、ビニールに入ったクリーニング済みのスーツやワイシャツがたくさんかかっていた。
端っこにネイビーの厚手のローブを見つけて、私はそれに手を掛けた。
「あっ…」
ビニール袋に入った濃いピンクの何かが落ちてしまった。ダークな色合いの服が並ぶクローゼットの中で、明らかに異色な布もの。
私はハンガーに掛かったままのそれを広いあげた。
それは女物のブラウスだった。
「あ、これ…」
スカーレット色の牡丹の花びらのようなフリルがついたそれに、見覚えがあった。