苦手だけど、好きにならずにいられない!
ビッキーのマシンガントークに唖然とする。それは隣にいる寺島先輩も同じだった。
先輩はイベント開催中、支援という形で午後1時まで来てくれることになっていた。
(な、何この子…)
私が肘で先輩を突くと、
(知らねえよ。いい子がいるからって話だったから頼んだだけで)
先輩も口パクで返す。
「じゃ、浅田さん。あなたの役目は紙コップにフルーツジュースを注いで、お客様におすすめして下さい。まずは足を止めて頂くこと。
お客様がベリベリ島に関心を示したら、旅行のご案内をしますのでどうぞブース内へお連れして下さいね」
「えーー、ビッキーがやるの?」
大袈裟に喚かれた。
イライラが再燃するが、ここは冷静に…
「ええ。それがあなたの仕事です。あとこのベリベリドールの販売ね」
ビッキーは私が指差した手のひらサイズのベリベリドール達を見ると、またもやオーバーに騒ぎ出した。
「うっひゃあ、何これ!グロかわいいじゃん、スマホにつけてえ!マジヤバ!
一個いくら?1200円?たっか!
なんかデカイ種と雑草のツルみたいので作ってるっぽいのにさ!
え!願いが叶うの?なら、ビッキーも買う買う!
ビッキーの夢ね、喋くりとダウンタウンデラックスに出ることなの!」
「…出れるといいね」
呆れ顔が隠せない私に寺島先輩が
「こいつは白くてでかいベリベリドールだと思おうな」と囁いた。