苦手だけど、好きにならずにいられない!
スイートって…
そんなこと言われたの初めて!
「えっと、あの、何をおっしゃってるんですか……社長こそスイートですよ?
セミスィートルームに住んでますしね。えと、ごちそう様でした。お茶のお代わり要りますか?」
ちょ、私ってば赤くなってない?
それも恥ずかしい!
落ち着け、莉子!
照れ隠しにパタパタ手のひらて仰ぐ。そんな私をデレクは、優しく見守るようにしてくれていた。
午後9時。
デレクと共にホテルの部屋に帰り着いた。結局デザートまで頂いてゆっくりしていたらこんな時間になってしまった。
「疲れたかい?」
「いいえ。とっても楽しかったです」
デレクがジャケットを脱いでクローゼットに仕舞う。
私はカーテンを閉めようと窓辺に寄る。
開閉スイッチに指を置いたけれど、つい目の前に広がる電飾パレードのような夜景に目を奪われてしまった。
「綺麗…」
何度見ても飽きない。
カランカランと氷の音がして、振り向くとデレクがバーカウンターのそばに立っていた。アイスペールに氷を移している。
「莉子、ウイスキーは飲まないか?」
訊いてるくせに、返事を待たずにウイスキーの瓶を開け、グラスを2つ並べている。