苦手だけど、好きにならずにいられない!
…もしかして私、
口説かれてる……?
ひょっとしたら、デレクは遊び慣れた男なのかもしれない…
反射した窓に映るシャンデリアとその下の平凡な容姿の私。
美しいナオミ・ヒルとは月とスッポンだ。
デレクを巡ってミス・ユニバースみたいなナオミと競うなんて想像だけでもお笑い草だ。敵うわけない。
いや。一度だけでポイ捨てされるに決まってる。
これ以上、誰かに傷付けられるのはまっぴらごめん。
「…どうした、莉子?疲れたのか?」
デレクの手が止まった。優しい瞳で私を見上げている。深い泉に吸い込まれそうな気持ちになる。
「はい。少し…申し訳ありません。このところ疲れが溜まっていたものですから…今夜はこれで失礼します」
「そうか。無理をしてはダメだ。必要ならここにマッサージ師を呼ぼう。遠慮なく言ってくれ」
デレクが本当に心配そうな顔をする。まるでひとりで留守番をするワンちゃんみたいに。