苦手だけど、好きにならずにいられない!

「た・だ・し」
ナオミは唇の前で人差し指を振った。

「仕事も兼ねての話。
ベリロイのホテル内で流すサービス案内のプロモーションビデオを現地で撮影します。
どんなアクティビティがあるのか、エステやウエディングの様子、周辺の景勝地も取り入れたいわね。

外部とのトータルコーディネートは新太に任せるわ。詳しくはあとで打ち合わせしましょう」

「わっかりましたあ!早くいきてえ!
新しい水着買おうっと!」


寺島先輩の喜ぶ姿にナオミも満足げにしている。先輩は母性本能くすぐるタイプだから、何気にナオミのお気に入りなのだ。


デレクは行くのかな…

私はそれが一番気になってしまった。でもこの場でナオミに質問するのはなんだか躊躇われた。

3日前、お土産の苺を私が手渡すとナオミは「ワオ、アイライクストロベリィ!サンキュー」ととても喜んでくれたけど、それ以上はなかった。

デレクはといえば、2日前からB.C.Estate agent本社があるニューヨークへ行ってしまった。


ーー社長は社員旅行に行かれるのでしょうか?

以前だったら普通に訊けたのに。



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