【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
第零章 あの時の記憶
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「ねえ、綺世(あやせ)。
わたしたち学校で"絶対に別れないカップル"って言われてるらしいわよ。一体どこにそんな根拠があるのかしらね」
「それほど仲が良いってことなんじゃないか?」
ふっと笑う彼の手が、わたしの髪を優しく撫でる。
心地よくて目を細めれば、「猫みたいだな」と笑う彼。吐息が重なるほど近づく距離に目を閉じれば、後はもう、それを待つだけ。
「……綺世、別れよう?」
ゆっくりと離れた距離の中で、口を開く。
「……ああ。
そろそろ言い出すと思ってた」
別れ話にそぐわない彼のやわらかな笑み。
そして「知ってると思ってた」とわたしも笑って、投げ出したままの彼の指に、じぶんの指を絡める。
「これからも仲良くしてくれる?」
「当たり前だろ。
別れて縁切れるような女じゃねえからな」
「ふふ、褒めてくれてありがとう」
くすくす笑い合って、どちらともなく名残を惜しむみたいに、吐息を触れ合わせて。
これで最後、と絡めた指先を離した。
「……だいすきよ」
【BLACK JOKER
-元姫VS現姫-】
──うそつきな男は、嫌いなの。