【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「うわ、彼氏といちゃらぶしてんの撮られたのか〜」
「っ、ちょっとみや……!」
する、とわたしの手からあっさり抜けていくスマホ。
取り返そうとしたけど立ち上がったとしたらみやの方が身長が高いし、説得しないと絶対に返してくれない。
「よかったじゃねえの。キスしてるとこじゃなくて」
「何もよくない……!」
「はいはい〜。
いつまでたっても恋愛経験値ゼロのお子様だねえ」
むっ、かつく……!
みやにだって彼女いないでしょ!?と言ったところで、きっと彼はゆったりと笑みを浮かべるだけ。遊んでいないにしても、女の子を口説くのが苦手じゃないのはなんとなくわかる。
「ねえ綺世、
みやからスマホ取り返して?お願い」
「ちょ、おま、それはずるいわ〜」
「……お前がそうやってひののこと揶揄うからだろ」
ふう、と小さく息をつく綺世。
わたしが綺世を味方につけたことで、あっさりとスマホを手渡して返してくれるみや。……それならはじめから返してくれればいいのに。
「お前さー、もともと綺世と付き合ってたんだろ?
こんなつくりもんみたいに顔の整ったやつと付き合ってて、よくまた別の男と付き合えるな」
「こら〜、そなちゃん悪く言わねえの。
美人は付き合ったら見飽きるのと同じで、イケメンも見飽きるんだよ〜」
「……ほんとに見飽きるならわたしは今みんなと一緒にいないと思うけどね」