【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「ほらほら、記念撮影するよ~!
ってか、次集まる時は各自彼氏とか彼女連れてこない!?みんなの彼氏とか彼女気になるんだけどー!」
「そう言ってどさくさに紛れて、誰かの彼氏がイケメンだったら略奪しようとしてるんじゃないでしょうねー?」
「えっ、なんでバレたの?」
「サイテー!」
ケラケラと。
惜しげもなく笑う、誰にも邪魔されない地元のみんなだけの時間。楽しいのに、ひどく切なくなる。片想い組の恋バナ中を聞いて騒ぐ中で、ずっと、綺世の顔が頭から離れてくれない。
「ひの? 顔色悪くない?」
「ううん……平気。
でもちょっとだけ、風に当たってきてもいい?」
笑ってるのに、みんなの前で純粋に笑えなくて。
「全然いいって!」と快く言ってくれるみんなにお礼を言って一度外に出ると、すぐに追うように夕李が外へ出てきた。
「お前が顔色悪いから見てこいってさ」
お節介だよなー、と笑う夕李と、邪魔にならない駐車場の隅で。
向かい合った瞬間に、涙がこぼれ落ちそうになる。……泣いちゃ、だめ、だ。
「夕李……、わたしね、」
「……あいつに好きって言われた?」
的確に。
心の真ん中を射止めてくる言葉に、否定できなくてうつむく。それから一度だけこくんとうなずいたわたしに、「だろーな」とつぶやく夕李。……だろうな、って。
「1回、対面したじゃんお前の元カレと。
そん時さー……言わなかったけど、あいつ俺に敵意むき出しって感じだったし」