【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



「ゆゆ。お前、正直に答えろよ?

……ひのに一番似合う男って誰だと思ってんだよ」



「えええええ……

そなちゃんの前でそれ言わされるの色々キツいんだけどー!」



そう言ってんだから、俺じゃないのは確かだろうが。

ためらうことなんかねーよと正直に言うよう念を押せば、案の定出てくるのは綺世の名前。……いや、そうに決まってんだけどな。



「ふ。それ思ってんの、お前だけじゃねーだろ。

俺も、万理も、みやも。……学校のヤツらも、同じこと思ってんだよ」



綺世と別れても未だに仲良くしてるひのに、確かに女子からの妬みみたいな視線はひどかった。

でもひのに直接文句を言ったヤツもいねーし、彼女って存在がいなくなったのに綺世に言い寄る女も限りなくゼロに近かった。



……どう考えてもこんなハイスペックな女に勝てるわけねーしな。

それに、全員がわかってたんだっての。



ひのにつり合う男も、綺世につり合う女も。

……なんだかんだ、お互いしかいねーって。




「遠回りしすぎなんだよ」



「……よかったんじゃないかな」



「はあー?」



これだけまわり振り回しといてか?と。

急にさっきまでの営業スマイルを外して通常運転で真顔にもどるゆゆを見れば、「だって」とどこか文句を言うように反論してくる。



「別れないって、勝手に言ってたのはまわりだよ?

でも本人たちは結局別れちゃったじゃん。だけど1回別れたあとにヨリ戻すってことは、もう今度こそ離れたりしないと思うんだよねー」



「……まあな」



勝手にまわりが過信して。

別れないなんて言ってたけど、ひのと綺世にとってそれは付いて回る噂でしかなかったわけで。心に余計な負担をかけてたってのも、たぶん間違いじゃない。



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