【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「だから、これでよかったんだよー。
あやちゃんのことだから、絶対にもどってきたひのちゃんのことを手放したりはしないでしょ」
「そんなもん当たり前だろうが」
別れた女のこと忘れられなくて指輪渡してるような男だぞ。
顔が良いのと恐怖を与えてねーっていう点があるから良いものの、一歩間違えたら完全にストーカーの域だかんな。
「ゆゆ、お前まだ余裕あるならコイツのこと頼む」
「え、そなちゃん帰るの?ひのちゃんを置いて?」
「盆だってのに帰ってねーヤツばっかりだから、倉庫に顔出しに行くんだよ。
寝不足で疲れきってんだから寝かせといてやれ。あとなんなら、お前が送って帰れ」
「そなちゃんそれ横暴だから!」
叫ぶように告げるゆゆの額を軽く弾く。
ひのが起きんだろと声をひそめたら、申し訳なさそうに「ごめん」と謝った。謝るならすんじゃねーよ。
「んじゃ、頼んだぞ」
「え、本気で?」
「言っとくけど今お前の隣で平然と寝てる女。
7代目が何よりも溺愛してる女だからな。テキトーに片付けようとしたら、お前が綺世に始末されるぞ」
「物騒な……っ」
んじゃーな、と。
ひらりと手を振りスペースを出て会計してれば、マスターが「彼女は?」とニヤニヤしながら聞いてくる。なんでニヤニヤしてんのか知らねーけど、確実にオッサンが手ェ出したら犯罪だっつの。
「寝不足で潰れたから、後はゆゆに任せた」