【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



どうしたの?なんて、聞くだけ野暮よね。

触れそうな距離にゆっくりと目を閉じて。やわらかく重なり合うだけのキスを、受け止める。



「……好きでいてくれて、ありがとう」



「ふ。お互い様だろ。

……もう離してやるつもりねえから、一生繋がれる覚悟しろよ」



「繋がれるって、言い方……」



「違う。お前が、俺に繋がれんじゃなくて。

俺を、ずっと繋げとく覚悟だよ」



離してやんねえじゃなくて、離れてやらねえから。

どこか子どもっぽく言う綺世に小さく笑って、「好き」の言葉と一緒にキスをあげたら。彼は満足そうな顔をして、またくちびるを奪ってく。



花火を見に来てるのにあきらかに彼の顔を眺めてる時間の方が長くて。

文句を言おうとしたら「嫌いじゃないだろ?」って囁かれてちょっと口元がゆるんだ。……我ながらチョロいなわたし。




「ねえ……どうして裏切ったの」



「……何がだよ」



「ほんとは、わたしがもっと音ちゃんと関わって何か反応を見せるまで、みんなの指示に従うつもりだったんでしょ?

万理が、綺世が俺らを裏切って指示を聞かなかったって」



「ああ、あいつらの指示は焦らすためにお前に好きだって言うなっていう指示だったからな。

……でも、好きな女目の前にして黙ってるなんて無理だろ」



もう、何度キスしたかわからない。

逃げても逃げても奪われて、触れるだけの子どもみたいなキスばっかりしてくるから、くすぐったくて困る。



「でもわたし、嘘つきな男は嫌いなの」



「……なら、嘘つきな男は嫌いでいい。

でも、お前のことを好きすぎて嘘つきな俺のことは愛せよ」



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