【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



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「ん、美味しい。

プール入ったあとに食べるアイスって、お風呂上がりのコーヒー牛乳と同じぐらい美味しいと思ってるんだけど、」



プールに入ったら昼飯のタイミングを逃すことを想定して、今日は昼飯をそれぞれで済ませてからの待ち合わせ。

特にこれといってプール内で大したことは何もせず、本当にただふたりでのんびりと過ごしただけだ。



更衣室のドライヤーで乾かしたらしく、すっかり乾いているひのの髪に触れる。

プールから上がった後、自販機で売ってるアイスが食べたいと言い出したから今はひのがそれを食べてんのを見てるだけだけど。



「あのね……

ほんとは、今日海とかもっと広いプールとかじゃなくて、ここに来ようって言ったのは理由があって」



「ああ、」



「ほんとは、わたしのわがままなの。

海とか広いプールなら、その分人もたくさんいるから。……綺世がいっぱい女の人の視線集めるのが嫌だ、って」



言いながら、下に落とされる視線。

自分から言ったくせに恥ずかしくなったのか、食べ終えたアイスのゴミを捨ててくると言い訳して、そそくさと行ってしまった。




「ひの」



ここなら、人目もほとんどない。

ゴミはもう捨てたはずなのに振り向かないひのに近づいて声をかけたら、振り返って赤い顔を見せる。……今までひのの気持ちに気づかなかった自分が謎なくらい、最近のひのは感情に素直だ。



「や、やっぱり今の聞かなかったことに、」



「するわけねえだろ。

……俺ははじめからお前しか見えてねえけど、それでも不安か?」



「……そう、じゃなくて」



空いていた隙間を詰めて、ひのの顔を覗きこめば「そうじゃなくて……」とゆっくり顔を上げる。

俺の服を握る手を上から包むようにして握ってやったら、うれしそうに笑うから。一瞬で虜になるのは俺の方。……その笑顔に、惹き付けられる。



「妬いちゃうから……嫌、なの……」



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