【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



そこで、ひのと出会った。

ひのは覚えてねえかもしれないが、俺はちゃんと覚えてる。ひのと出会ったあの時のことを。……まあ、こっち側からすればなかなかに印象が強かったから、ほかの4人も覚えてるだろ。



「オープンキャンパス……?

ああ、うん。地元の子と一緒に行ったわよ」



「お前、

その友だちとはぐれて学校内探し回らなかったか?」



「うん、その子方向音痴だったし、わたしもその子もケータイ持ってなかったから連絡取れなくて。

探さなきゃって探し回った、けど、まさか、」



「お前を待つ間に、

その友だちはちゃっかり逆ナンしてただろ」



「っ、待っ……逆ナンされてたのってたしかに男子数人だったのは覚えてるけど……

あの子に逆ナンされてたの、もしかして綺世たちだったの……?」



顔まで覚えてない、とひのが眉間を寄せる。

まあ、随分と前の話だから覚えてたらすげえ記憶力だな。記憶と一致するそれに肯定の返事を返せば、ひのが「う……」と言葉に詰まる。




「仲良しな子だから、わたし遠慮なしにあの子に文句言ってなかった……?

悪びれてないからわたしが代わりに謝ったような記憶はあるけど、」



「こっち側は5人だったしな。

めんどくせえなとは思ったけど、断るのも楽だった分そこまで迷惑してなかったのにすげえ丁寧に謝ってくれただろ?」



これでもかってぐらい丁寧に謝ったひの。

意外だったというか、ただ純粋に常識があって優しいんだろうなと思ったのが第一印象。お淑やかって言葉がぴったりなせいで、はじめは育ちがいいんだろうなと思ってた。



「っていうかわたしが聞いたのはいつから好きなのっていうことで、」



「だから、そんときだよ」



「……へ?」



「すげえいい女だって思った」



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