【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「はあ? 俺のせいって言いてーのかよ?」
「べつにそんなこと言ってないもん。
もっと男らしくリードしてほしいだけですー」
「……んなことしたら、
キスじゃ止まんねーけどいいの?」
「……へ?」
──指で、顎を掬われて。
至近距離でまっすぐ見つめてくる瞳に、視線を逸らしたくても逸らすことを許してもらえない。……強引につかまれてるわけでもないのに、惹き付けられて。
「キスだけで離してやんねえけどいいの?
……って、俺は聞いてんだけど」
かあっと、一瞬にしてまた赤くなる顔。
何も言えなくなって慌てふためくわたし。夕李の余裕な笑みがむかつく。……強引にリードされるのは嫌いじゃないけど、こんなの心臓がもたない。
「ばかっ、変態……!」
「お前な……男なんてみんなそんなもんだわ」
「うるさい、ばか……っ!」
「ああもう、ぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃねーよ」
ぽかぽか微力すぎるパンチを胸にお見舞いしていたら、ぐっと抱き寄せられて腕の中。
強引な抱擁に、恥ずかしさを通り越して昂った感情で涙が出てくる。ぐす、と鼻をすすって彼の胸に顔を押し付けた。
「百面相なヤツだな……
あーも、俺が悪かったから泣くなって」
「……ほんと恥ずかしい」