【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「……綺世。
わたしの誕生日ね、4月の25日なの」
「………」
「……1年前は素敵な誕生日プレゼントをありがとう」
聞き覚えのある日のせいか、彼は何も言わずにくしゃりとわたしの髪を撫でる。
4月25日は、わたしたちが一番はじめに付き合った日だ。……自分の誕生日に「付き合わないか?」って言われていたそれに返事したわたしってどうかと思うけど。
「……誕生日祝いは来年からにするか」
「ふふ、そうね。
でもわたしの誕生日に付き合ったのに、あなたの誕生日前に別れてるから、わたしからはちゃんとお祝いさせて」
そう言えば、彼が「ん」と返事してくれる。
その返事の仕方、すごく好きだ。適当に返してるわけじゃないけど、気をゆるしてくれてるみたいで好き。綺世の腕に自分の腕を絡ませたら、そのまま「よしよし」される。
「……小さいからって子ども扱いしてる?」
「してねえよ」
「身長伸びてくれないかな……」
顔を上げたら、綺世の背が高いから首が痛い。
手を伸ばせばなんとか肩には届くけど、残念ながら首裏に回すのは、キスする時だと結構きつい。加えてヒールが苦手だから、この身長差を埋めるのはなかなかの難易度だ。
「……ひのの方が、音よりちっせえんだな」
「小さいって言わないでそなた」
「俺ら男ん中でいちばんちっせえゆゆと並んでも、お前の方があきらかに小さいじゃねーか。
音はヒール履くから、高いときはゆゆと並ぶだろ」