【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
たしかにそうなんだけども……!
小さい小さいってバカにしてるでしょ!?と一度その場でジャンプしてみるけど、残念ながらそなたの肩には届きそうもないぐらい彼は背が高い。
「でも、そなちゃんと付き合ったら明らかに大変だよねえ。
そなちゃんの方が綺世より身長高いんだから〜」
「はっ。
ひのがどうにかして身長伸ばせば良いんじゃね?」
「ふは、伸びたら困ってねえんだもんな〜?」
……他人事だと思って。
完全にバカにしてくる黄金コンビをキッと睨んでみるけど、これもわたしの身長が低いせいで何も威圧がないと思う。……そもそも。
「身長高いのうらやましい。
……ちっちゃいと、キスしたいときにできないもん」
拗ねるようにつぶやいてみたら、万音がくすくす笑う。
恥ずかしいのはもちろんわかってるけど。……でもわたしだって、たまには綺世にキスしたいときだってあるわけで。
「あー……
そのまま綺世に持ち上げてもらえば良いんじゃねーの?」
「……でもそれって綺世に先にバレるもん」
"不意打ちちゅー"なるものを、わたしだってしてみたいのだ。
されることはあるけど、彼が座ってるときぐらいじゃないと、わたしの身長が足りない。何かに乗ってやるっていうのもあるけど、そうそう都合よく足場があるわけでもないし。
「それって、不意打ちどうこうっていうよりも……
ただひのが、綺世のこと動揺させたいってことだよねー?」
「……わたしばっかり動揺するからずるい」
綺世にも、ちょっとぐらい動揺してほしい。
そう言えば彼はふっと笑ってるけど、どう考えてもこの人が動揺してくれるようには見えない。
「……じゃあさ、ひの」