【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



「ねえねえ、今度ダブルデートしようよー」



「……はあ?やだよ。

言っとくけど万音、俺とコイツはただいとこなだけじゃなくて家も近いせいで昔っから一緒にいるんだよ?」



「うん、それが何か問題なの?」



「なんでコイツが彼女とイチャついてるところを見てなきゃいけないわけ?

そりゃ確かにありえないぐらい落ち込んでたから、ひのちゃんとヨリをもどす手伝いはしたけど、それはそれでしょ」



「万理ってほんと素直じゃないよね。

そもそも、あの裏切り者のお姫様の計画立てたの万理じゃんー。綺世のこと大好きなくせにー」



「ありえないから気持ち悪いこと言わないでくれる?」



嫌そうな顔を隠さない万理と、万理には遠慮なしで文句を口にしている万音。

さすが兄妹。さすが恋人。どっちつかずな距離感だけど、どっちでもあるんだからすごい。ちょっと尊敬する。




「っていうか、許可なくふたりで遊びに行くなって言ったの万理と綺世じゃんか……!

ダブルデートしてくれないならデートする予定も入れられないぐらい毎週のようにひのと遊ぶからね!」



「……そういうことじゃないでしょ」



「そういうことだもん!

ダブルデートしてくれないならわたし万理のこときらいになる!」



「……わかったから、」



嫌いになるとか言わないの、とあきれたようにため息をつく万理。あきれてるっていうか、普通にショックそうなんだけど。

完全に落ち込んでるわよねこれ、とその様子を見てたら、「じゃあダブルデート決まりね!」と笑顔の万音。



意外にも万音の方が上手らしい。

綺世に「いつもこんな感じなの?」と聞いてみたら、「こいつらも俺らと大概変わんねえよ」なんだとか。



つまりイチャついてるのは、どっちもどっちっていうか。

ダブルデートしてて楽しいのは、わたしと万音っていうか。



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