【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



「俺べつに泣かせてねーし。

お前が勝手に感情高ぶって泣いただけだろうが」



「はは、見なかったことにしてくれたんじゃなかったのかよ〜」



「お前が自分で泣いたの認めたんだからもう関係ねー」



「……お前そういうとこあるよねえ」



目ぇ赤いぞって投げられたのはペットボトルのミネラルウォーター。

冷やせって意味なのか飲めって意味なのかわかんねえし。……飲んでから目ぇ冷やそう。



「俺、ひのには言わねえよ〜?」



水分が枯れたのか、口をつけたら意外にもゴクゴクと喉を通っていく水。

結構飲んだなと思いながら残りの水で目を冷やしつつ、そなたに向かって言う。




「あ? 好きにしろよ」



「たぶん、ひのに言ったらお前がイライラするぐらい落ち込む気がするわ~。

……ひのにさ、手首の傷の話はじめてしたときな。「人を好きになったことある?」って聞かれたんだよねえ」



「へー」



「興味なさそうな返しだな……

でもそのを話したときにあいつのこと好きになってんだから、なんつうか俺損してんな」



「そーだな」



「……あ〜、自覚したのはいいけどツラ」



お前よく平然とひのと過ごしてんな。尊敬するわ。

挙句、告ってあいつらのために一肌脱いだんだっけか? すげえかっこいいじゃねえかよ、むかつくなそなた。



< 205 / 245 >

この作品をシェア

pagetop