【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「俺べつに泣かせてねーし。
お前が勝手に感情高ぶって泣いただけだろうが」
「はは、見なかったことにしてくれたんじゃなかったのかよ〜」
「お前が自分で泣いたの認めたんだからもう関係ねー」
「……お前そういうとこあるよねえ」
目ぇ赤いぞって投げられたのはペットボトルのミネラルウォーター。
冷やせって意味なのか飲めって意味なのかわかんねえし。……飲んでから目ぇ冷やそう。
「俺、ひのには言わねえよ〜?」
水分が枯れたのか、口をつけたら意外にもゴクゴクと喉を通っていく水。
結構飲んだなと思いながら残りの水で目を冷やしつつ、そなたに向かって言う。
「あ? 好きにしろよ」
「たぶん、ひのに言ったらお前がイライラするぐらい落ち込む気がするわ~。
……ひのにさ、手首の傷の話はじめてしたときな。「人を好きになったことある?」って聞かれたんだよねえ」
「へー」
「興味なさそうな返しだな……
でもそのを話したときにあいつのこと好きになってんだから、なんつうか俺損してんな」
「そーだな」
「……あ〜、自覚したのはいいけどツラ」
お前よく平然とひのと過ごしてんな。尊敬するわ。
挙句、告ってあいつらのために一肌脱いだんだっけか? すげえかっこいいじゃねえかよ、むかつくなそなた。