【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
……やっぱり、どうしようもなく、かっこいい。
頭の上から聞こえる声に、小さくくちびるを噛んでうなずいたら、「別に大人じゃねーし」と付け足す夕李。
「お前の元カレのこといまだに気にしてるとか、どう考えても大人げねーじゃん。
なんでそんな焦って泣きそうなんだよ」
「夕李が……かっこよくなってくから……」
「ばーか。お前だって可愛くなってるくせに」
「……わたしはかわいくないもの」
かの、みたいに。
もっと素直で女の子らしかったら、きっと誰にでもかわいいって思ってもらえる。姉のわたしから見ても、かのはすごくかわいいから。
かわいいよって。
夕李がそう言ってくれるだけで、うれしくて。
「他人がなに言おうが、お前はかわいいって。
……俺がそう思ってるだけじゃ足りねえ?」
「ううん……大満足」
「ならそんな浮かない顔してんな」
わしゃわしゃ髪をかき混ぜられて、ちょっと!と顔を上げたらくちびるにキス。
……今度はちゃんと、不意打ちだったけど、目は閉じた。
「そろそろ戻んねーと言われるよな?
……可能な限り会いに来てやるから、元気出せ」
体温が離れるのがさみしくて、引き止めるように服を引く。
それに合わせて名前を呼べば、ん?と聞き返してくれる、その声が好き。
「明日も……
迷惑じゃなかったら、迎えに来て、ほしい」