【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
交渉成立だね。
そう言って笑った万音にもう一度キスを落として、完全に受け入れ態勢に入る彼女を余すところなく食べ尽くす。うさぎにとって好物の餌が人参なら、俺にとっては万音だ。
「ん……、ねえ、万理、」
「……なに?」
「ひのとふたりでお泊まりするのは別で、
綺世とひの呼んで、4人でお泊まりもしたい、な」
「……やだよアイツいるの」
「いいじゃん……
いとこと仲良くしてよ、お兄ちゃん」
向けられる表情は、どう考えても妹が兄に対して見せるのものじゃない。
悩んだ末に選んだ禁忌の道を、俺と万音は比較的重く考えてはいないと思う。……俺らのそばにいてくれるヤツらはみんな、受け入れてくれてるから。
「あ、ちょっと今うれしそうな顔したでしょ?
万理もしかして、お兄ちゃんって呼ばれる方が好きなの……?そういう趣味……?」
「うるさいそんな顔してないから。
あと、趣味どうこうじゃなくて俺らほんとに兄妹だからね」
「そうだった。
妹のことほんと大好きだね、お兄ちゃん」
「……お前、」
やっぱりむかつく。めちゃくちゃむかつく。
生意気、と口からこぼれる言葉は文句しか孕んでないけど。キツくキツく求め合って、それこそ、溺れてしまうくらいに。
「……だいすきだよ、万理」
耳元で囁かれる愛の言葉。
好きだと伝え合えることこそが、何よりもしあわせで。キスを落として「俺も」と返した、とある冬の休日。
【Fin.】