【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「顔は良くても性格悪い人は嫌だもの」
「ユノは性格良さそうだよ?」
「まさか。あいつの裏の顔は完全に悪魔よ」
「……ん?」
万音が、不思議そうに首をかしげる。
それからなぜかみんなを見回したかと思うと、その視線は最終的にわたしへともどってきた。
「あいつって……ユノのこと?」
「うん、そうよ。
アイドルだから笑顔振りまいてるけどほんとは悪魔みたいな男だから」
ありえない。
綺世みたいに優しい男じゃなく、あいつは平然と「ほら、キスしたけりゃ頑張って背伸ばせよ」とでも言ってくるような男なのだ。
今どきあんな悪魔みたいな男、少女漫画の世界でしか通じないから。
実在すると嫌悪感しか感じないから。
「ひの、ユノと知り合いなの~?」
「知り合いも何も元カレだもん」
カチ、と。
あきらかに何かが固まった音がした。
「は? はあ!?
おまっ、芸能人と付き合ってたのかよ!?」
「付き合った時は事務所には入ってたけどデビューしてなかったから、ギリギリセーフでしょ」