【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
しれっと返せば、「そういうことじゃねーよ!」とそなたに怒られる。
どうでもいいけどそなたお菓子落ちそうなんだけど。あと、うるさいから静かにしててほしい。
「え、どういう経緯で知り合ったの?」
「街歩いてたらナンパされたの。
……ユノが所属してるアイドルグループの中で、あの男がいちばん女ったらしだからそのうち週刊誌に抜かれるんじゃない?」
「あきらかに全員知ってるような口ぶりだよねー」
「全員顔見知りよ。
……いや、顔見知りだけじゃない人いるけど」
「ひの何とか連絡取れたりしない……?
わたしね、ユノが所属するグループの中でエマが好きで、」
身を乗り出してそう言う万音。
隣の万理がさらに不機嫌だ。連絡取れないことはないけど、間違いなくわたしが万理に怒られる。
「……ひのちゃんって、あやちゃんとはじめて付き合ったものだってみんな思い込んでたよねー。
よく考えたらそれより前の話知らないじゃんー」
「綺世と付き合う前?
……聞かない方がいいと思うけど」
「えー、聞きたいなぁ」
「まず、さっき言ったとおりユノでしょ?
あと、ユノがいるグループの別のふたりとも付き合ったわよ。最初がユノで、最終的にまたユノと付き合ったけど結局別れたわよ」
「ってことはあやちゃんと付き合う前に3人と付き合ったってことだよねー?」
「そうね。しかも最後にユノと別れた理由がデビューするから、ってマネージャーに強制的に別れさせられただけだし。
……それがなかったら、まだ付き合ってる可能性はあったかも」
でももうあいつのところには戻らないけど、と。
つぶやけば、綺世がくしゃりと髪をなでてくれた。