【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
ベッドに身体が沈んで、綺世がすこし体重をかける。
押し返せばきっと、綺世はやめてくれるんだろう。万音も言っていたけど、彼は無理強いなんてしない。
「……嫌なら今のうち、だぞ。
もうこの先は、やめてやれる自信が無い」
「……、いいよ」
「………」
「綺世だから、大丈夫」
綺世が、くっと目を細める。
それからわたしの顔の横に手をつくから、キスに応えるために首の後ろに腕を回した。
怖くないわけじゃない。
けれどその優しさを蔑ろにしたいわけじゃない。
「……愛してる」
その言葉をもらえば、なんだって大丈夫な気がした。
やめてやれる自信が無いなんて言ったくせに、わたしが痛がっていないか何度も確認して、その余裕な態度を最後まで崩さないで。
「っっ……綺世、」
「ひの……」
見つめ合えば、どこまでも堕ちていく。
前に付き合った時には、こんな感情知らなかった。
知らなかったからこそ、特別で。
もう綺世が誰に触れたかなんて、そんなこと気にならないくらい、丁寧に触れられて。
すべてを、綺世だけに染められる。
心だけじゃなく身体まで綺世のものになったとき、本当にしあわせだと、強く思った。
【Fin.】