【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
「び、っくりした……
もー……おどろかさないでよ、みや」
「ん〜?
俺らちゃあんと、ひのがひとりになるまで声掛けんの待ってやったんだぞ〜?」
「はいはいそれはどうも……、ん?」
ひとりになるまで、待った?
……わたしがひとりじゃないの、見てた?
「な、っ……待っ、いつから、」
「え〜?ひのが自転車から降りたあたり〜?」
見られてる……!しかもかなり前から……!
ってことは夕李がいなくなってからひとりでちょっと恥ずかしくなってたのも完全に見られてたの!?なにそれ恥ずかしすぎる……!
「しあわせそ〜な顔してたじゃねえの」
「も、もう、そういうのなし……!
盗み見厳禁なんだからやめてよ……!」
「こんな学校すぐそこの道路でイチャついてたらあきらかに目立つだろ」
……黄金コンビめ。
みやだけならまだしも、そなたにまで参戦されたらさすがにもう何も言えない。ぐっと押し黙り込んだわたしの髪を、綺世がゆるく撫でた。
「お前ら、いちいち騒ぐな。
……悪目立ちするから、さっさと行くぞ」
なんでもないみたいに、手首を優しくつかまれて引かれる。
それに逆らうでもなく足を進めているうちに、まわりから向けられる女の子たちの視線。
あきらかにふつうの人とは違うオーラを纏う5人。
姫だった頃のわたしに向けられる羨望のまなざしはどこかへ消えて、いまはもう、「どうして今も一緒にいるの」と妬み恨みの視線だけが突き刺さる。