【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
つまりそれは。
「現姫が、裏切ってた……?」
「そういうこと~」
……だから、今日はみんな一緒に登校してたのか。
ゆゆがめずらしく遅刻じゃなかったのも、その話が、あったから。
「これ以上そばには置いとけないだろうしねえ」
関東一の、暴走族。
その情報を喉から手が出るほど欲しがってるのは、周辺の暴走族たち。──トップになりたい、と。欲が強ければ強いほど危険であぶない。
そばに、いられる関係じゃない、と。
そう分かれば、きっと綺世は潔くその手を離すんだろう。──自分が信頼している大事な仲間たちのために。たとえがそれで、愛している人でも。
「でもねえ、厄介なんだわ〜」
「……なに、が?」
「ほら、一応は俺らの姫じゃん〜?
で、綺世と喧嘩したわけでもねえのに別れろって言ったって普通は別れねえし、スパイだろって問い詰めたら、逆に開き直られて百夜月が危険になる可能性があるんだよねえ」
決して、一筋縄じゃいかない。
ひとりの人間と一方的に完全に関係を切るなんてそんなのは、たぶん、不可能に近い。
「追放できるような理由が欲しいんだわ〜」
「………」
追放できる理由……そんなもの存在するの?と、ぐるぐる頭の中をめぐる感情。
「あ、」と。スマホゲームから顔を上げたそなたが、わたしと視線を絡めた。