【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



「ごめんね夕李、呼び出しちゃって」



「いや、今日暇してたし全然良いけど。

あ、そうだ。昨日の夜見せてもらったあの写真、ちゃんとシンに文句言っといたから」



放課後。

わたしたちの高校と夕李の高校の間ぐらいにあるファミレスに唐突に呼び出したけれど、彼は嫌な顔ひとつせずに来てくれた。



「ほんと?ありがと。

お腹空いてたら好きなだけ頼んでくれても良いわよ。みんなの奢りらしいから」



「……お前たまーにドS発揮するよな」



4人テーブルのわたしの隣に夕李。

わたしの正面が綺世で、夕李の目の前は万理。隣のテーブルにゆゆと黄金コンビ、という、4人テーブルふたつを贅沢に使わせてもらっている状態。



放課後の高校生で賑わう中だから、間違いなく迷惑になってると思う。

……夕李が来る前にみんな好きなもの頼んでたし、わたしもパフェをひとつ頼ませてもらったけど。




「初対面でそんな迷惑かけられないだろ。

話があるからって呼び出されたけど、まさかお前ひとりじゃないとは思わなかった」



「昨日の今日でごめんね。

……誰から説明してくれるんだっけ?万理?」



「……うん、そうだね」



初対面の人を自然と安心させるような穏やかな笑みを湛えた万理は、ざっくりとみんなの自己紹介と、今回の件についてゆっくり夕李に話してくれる。

説明上手な彼の話を、一通り聞き終えた夕李は。



「わざわざ俺のこと呼び出すほどの内容じゃねーと思うんだけど」



「………」



そっけないその言葉に、「ちょっと夕李」と声をかけようとすれば。

どうやらわたしの早とちりだったようで、夕李がわたしの髪を撫でながら口を開く。



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