【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-



「そなたさあ、」



4人で倉庫へ向かいながら。

誰も言葉を発しようとはしないから、何気なく話題を振ってみる。暑さゆえか俺の企みゆえか、嫌そうな顔をされたのは、たぶん後者。



「……ひのに、告んねえの〜?」



「……なんでだよ」



「だってお前、ひののこと好きだろ〜」



「綺世と別れたからって俺が奪うようなことするわけねーだろ。

つーかお前、あいつの前でそうやって俺に話題振んのまじでやめろって」



こいつは、絶対に自分で好きだって言わねえけど。

ひのがいないときは、否定もしない。……誰よりもこいつ本人が、ひのを好きだって自覚してるから。




「奪えばよかったじゃねえの」



「………」



「恋愛なんてそんなもんだろ。

友情だとか仲間だとか優先して恋愛を諦められんなら、はじめからその程度の気持ちだったってことじゃねえの?……昔読んだ本の受け売りだけどな~」



好きだと自覚すれば、理性なんてもので制御できないほどに相手のことを求めてしまう。

見返りを求めない関係なのだとしたら、そこまで苦しむわけじゃない。相手に同じだけ好きだと思ってほしいからこそ、苦しむのが片思いで。



「俺には絶対無理だわ~。

好きな女にちょっとでも空きが出来たなら狙う。……元々付き合ってた男が、いくら信頼してて尊敬できる男でも、な」



「……お前好きな女なんていたことねーだろ」



……あ、バレた。



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