【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
どうする?と万理に聞かれたゆゆは、結局「今日は用事で行けませんって断るねー」と、スマホ片手に廊下の奥へ消えた。
それを見送って「大丈夫よ」と作戦についての返事をすれば、彼は微笑んで「ありがとう」とお礼を言う。
「みやも、だいぶ表情良くなったし……
ひのちゃんと、色々話せたみたいだね」
「……ん〜、まあ、それなりに?」
「そっか。
それならいいんだけど、綺世の方が機嫌悪くってさ。そなたが説得してくれてるけど、やっぱり今回の話はナシにしたいって言い出してて」
「はあ〜?
ひのの彼氏にまで話したのにいまさらかよ〜」
「ひのちゃんに迷惑かけたくない、の一点張り」
まったくもう、と呆れたようにため息をつく万理。
幹部たちとのコミュニケーションで一番中継役になっている彼のことだから、おそらくたくさん悩んでることもあるはず。
「……わたしから直接話した方がいい?」
「……ううん、大丈夫だよ。
それよりも、ひのちゃんは俺と軽い流れの打ち合わせしようか。何もなしで俺らがグルだってわかるような演技はさすがに出来ないし」
「そうね」
自分たちのチームを守るために姫をひとり追放しなきゃいけないだなんて、関東トップはやっぱり楽じゃない。
そんな重圧の中でもまっすぐに立ち続ける綺世との別れを選んだことは失敗だったのかと、いまさらどうにもならないことを考えた。
「……いまの彼女さんと、綺世って。
詳しい話聞かないけど、うまくいってるの?」
「ん?……そこそこじゃない?
ただあいつはきっと……彼女を手放すことなんて望んでないんだろうね。本気で好きなら、二度と手放したりするような男じゃないから」
だったらどうして……
彼女を追放することに、賛成、してるの。