【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-
みやにそう言われて、しぶしぶ背を向けるひの。
そういうのちょっと無用心だし無防備だぞ、とため息をつきたくなるのは俺だけらしく、みやがひのの髪に触れた。
「どう見てもキスマだよねえ」
「そうだねー」
のぞきこんだゆゆと顔を見合わせるみやに、「そんなのあるわけ……」とぶつぶつ言っているひの。
そんなとこにキスされたら普通わかるだろ。
「おはよ、みんな。……何してるの?」
「おはよー、あやちゃんばんちゃん。
あのねー、ひのちゃんのうなじにキスマがついてるって話しててー」
「……っ、ゆゆ。
お願いだからそう簡単に広めるのやめてちょうだい」
絶対気のせいだから……!と言ってるけど。
万理と綺世も、赤くなったそこに出した結論は俺らと同じで。なんでついてるんだろ、と本気で悩んでるらしいひのは。
「もしかして、寝てる間につけられた……?」
「あ〜、ありえるな〜。
彼氏の前で寝てたのかは知らねえけど〜」
「朝起きた時にニヤニヤされたの、もっと怪しむべきだったのね。
しあわせだから笑顔なだけ、って完全に言い訳じゃないの……!」
まったくもう、と嫌そうに言ってるけど、どことなくうれしそうなひの。
……ん? あれ、この話に引っかかってんの俺だけか?
「朝起きた時……?」
「なに、ひのちゃんお泊まり〜?」