祐也と私と一平先輩
棚倉先輩が出て行ったのを確認すると、

「綾乃、ほんとに大丈夫?」

一平先輩は私に視線を向けてきた。


「うん。心配かけてごめんなさい」



「ほんとか?」



一平先輩が私の肩に手をかけて瞳をのぞき込む。



「ほんとだよ。キスされそうになったけど、先輩が来てくれたからセーフ」


誤魔化すために、おどけて見せた。

ほんとのこと言ったら、きっと先輩は棚倉先輩を今度こそ殴っちゃう。

だから.....嘘をついた。



「そうか、なら良かった」



そう言って私を再び”ギュ”と抱きしめた。
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