祐也と私と一平先輩
肩を震わせて涙を流す私に優しく触れる先輩の手を感じると、

その手は私をソファーの背もたれに押し付ける。


それと同時に先輩の唇が私のそれに優しく重なる。



「.....んっ」



.....は..ぁ。



静かに唇を離した先輩は、



「綾乃は優しいから決められないんだね」



そう言って、再び私の唇をふさいだ。

長い長いキスだった。


私の気持ちを察して先輩は、
私を苦しめないようにそんな風に言ってくれたんだ。


私ほんとは優しくなんかない。


先輩、怒ってくれて良かったのに。

『お前は俺たちをいつまで待たせるんだ』

って言ってくれて良かったのに。

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