祐也と私と一平先輩
あの時の一平くんの”ぎょっ”とした顔は今でも忘れない。


一平くんの腕をつかみながら『一緒に死ぬ』って泣きながら何度も何度も繰り返し言ってた。と思う。


それからどうしたっけ.....頭が痛くなって思い出せない。


しばらくして、騒ぎを聞きつけたビルの管理人さんが私たちを管理人室に連れて行ったことまでは憶えてるけど、その後の記憶は....ない。



私たちは両方の親に怒られたのかな?


それとも.....?


思い出そうとすると、鼓動が早く鳴って苦しい。


荒くなった呼吸を押さえるように、私は胸の前で手をギュッと握った。


傷ついた一平くんを見てるのが辛かった。

『新しい父親なんていらない』って怒って、泣いて。

いつも笑顔で優しい大好きなお兄さん。その一平くんが『死ぬ』って私の前で泣いてた。

辛そうな一平くんの顔がよみがえる。

「嫌っ、そんな顔しないでっ!!」

私は頭を抱えて狂気にも似た声を上げていた。


「綾乃っ!!」興奮していまにも過呼吸になりそうな私を小坂くんは後ろから抱いた。


”....うっ”背中に彼の体温を感じてよけいに切なさがこみ上げてきた。


~~つづきますっ!!~~
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