祐也と私と一平先輩
「大人の勝手で振り回される子供の気持ち、少しは分かれっての」


「私は....一平くんの選択を否定しないよ」


「うん」


棚倉先輩の手が私の髪をなでても、何故か私は恐くなかった。


「綾乃ちゃんてよく見ると可愛いよね」


はっ?

よく見るとって....パーツがってことでしょうか?

そんなの嬉しくないから。


「前髪を上げたほうが良くない?」


延ばされた手をパシッと払う。


「おいおい、キツイな」笑う棚倉先輩。


「一平は親友だけど、良い奴過ぎて時々いじめたくなるんだ。
それで、あいつの本性が少しでも解放されるんじゃないかと思って。
言い方は悪かったけど、こないだの生徒会室でのことは本心じゃないよ。
だから怒らないでよね」


う~んどうもこの人は怪しすぎて信用できない。


「じゃあ、私を襲ったことも一平くんと関係あるんですかねっ?」

イヤミたっぷりの声色で問いかける。


いやそんなわけないでしょ。

一平先輩はいなかったんだから。

もし関係あるならしっかり答えてもらわないと。
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