祐也と私と一平先輩
「一応入試で勉強したと思うけど。えへへ」


間違えた文字を消しゴムで消しながら笑って誤魔化す。


「バーカ」


小坂くんは吐き捨てると、机に肘をついてプイッと横を向いた。


なっ!!


ケアレスミスじゃんか。そんなに呆れなくたっていいのに。


ほんと感じ悪いなっ。


『イーダッ』声に出さずに顔だけ作る。



「どうした綾乃、大丈夫か?」


先輩が優しく声をかけてくれた。


「は、はいっ、平気です」


小坂くんに対する表情とはわざと対照的に笑顔で答える。


「ちっ」


横で小坂くんの舌打ちが聞こえた。
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