藤沢先生の白いキャンバス。(修正済み)
スケッチブックに描かれていたのは、
風景画のデッサンだった。
鉛筆で描かれているのだが
繊細で美しいタッチ。
細やかな部分まで丁重に描かれていて
何より写真みたいに上手い。
「すごーい。こんな美しい風景画なんて
初めてみたかも……」
有名な絵は、たくさんあるけど
興味が薄いためよく分からない。
だがこの絵は、そんな私すら
魅了するぐらいに美しかった。
ここにあるってことは、
藤沢先生が描いたってこと……?
まさか……と思ったが、違うなら
何故ここに……?
先生の部屋にあるのだから藤沢先生が
描いたと思った方が自然だろう。
もう一度スケッチブックを見る。
他にも何枚も描かれていたが、どれも
綺麗で……まるで白黒写真を見ているようだ。
あぁ、何だか心が現れるようだ。
胸がキュンと締め付けられるほど
切なくなる。
しかし、その時だった。
「お前……何でここにいる?」
藤沢先生が帰宅してしまう。
な、何で……もう帰って来たの!?
まさか、こんな時間に帰ってくるなんて
思ってもみなかった。